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 シェリーの憂鬱



―― 幕間 ――



 何度かドアの開閉する音がした。部屋の中に残されたのは、安らかに吐息を立てている明美と、裸体のまま投げ出された人形のように、意識を失って床の上に横たわるシェリー。
 そして、身づくろいを整えた男がひとり。
 男は水の入ったコップを手に持って、明美の眠る寝室へと近づいていった。ポケットから取り出された一粒の錠剤らしきもの。ベッドに横たわる明美の頭を軽く持ち上げ、唇を指でこじ開けると、躊躇なく明美の口に錠剤を放り込み、水を一口注ぐ。
 ゴクリと明美の喉が鳴り、そしてまた寝息を立てはじめる。
「悪く思うなよ」
 誰にともなくそう小さく呟くと、男は部屋を出て行った。そしてカチャリ、鍵らしきものがかけられた。



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