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 羞恥



 トロトロと眠りについている所で、男が布団に入ってくる気配がした。気がついたけれど、そのまま少し眠ったふり。男はどこをどう触れれば反応するのか、熟知している鋭さで乳房を弄ってくる。寝ぼけまなこでも、触れられれば体は正直に反応する。
「やめようよ。ねむいよ……」
 体を反転させ、そんな抵抗もしてみる。すこし眠くてすこし気持ちいい、とろけるような夢見ごこちの快感。気がついたら太腿を擦りあわせ、身悶えしていた。
 そんな反応が楽しいらしい。男は胸を愛撫していた手を引っこめると、ニヤついて言う。
「どうしたの?」
「ああん……もう………」
 すでに濡れてしまっているのに、もう疼いて。男の手が私の手を男の股間に導く。
「さわってごらん?」
 手で触れるのはすごく好きだ。愛しい気持ちで満たされる。棹をさすり、鈴口を指先でいたぶる。睾丸をまさぐり、戸渡りをなぞり、また棹を愛撫する。私の手が欲望のままに、生き物みたいに移動する。
 我慢できなくなってきた。体を起こしてフェラの体勢をとろうとする。グッと頭が押し戻された。
「そのまま触ってて。あいた手で自分のを触りなよ」
「え……いやだ。さわって………」
 ひどい意地悪をいう。触れてほしいことを分かっているのに。
「どこを触ってほしい? さわってほしいことを自分でするんだ。わかった?」
「あ……おっぱいを……さわって、ほしいの……」
「だめだよ、自分で触るんだ」
 男の語気がすこし強くなる。
「いやあ……」
 そんな恥ずかしいことを私にさせようというのか。ぶわっと、羞恥心が急激に膨れあがる。いつもひとりで楽しむ時にはしていることだ。でも触れられたいところを、自分で触って感じ、それを冷静に見ている眼がすぐそばにある。
 身体を小さく動かして身悶えしながら、それでも私は操られるように、言われた通りにしてしまう。左手で棹を擦りながら、右手で乳首を手の平で、柔らかく転がしはじめる。
「ふーん。そんな風にしたいんだ」
 じっと見ながら男が言う。恥ずかしい。それでも火がついた快感を求めて、私の手はとまらない。もう男の顔が見られない。突き刺さるような視線を感じる。
「んん……あぁん……」
 より感じるように、自分から乳首を少し強く摘まんでひねる。そう、いつもこんな風にするのが好き。ちゃんと見ていてくれているだろうか? 見つめられているのがわかっていながら、静かに私は興奮している。
「胸だけでいいの? 下の方もさわれば?」
「いや……さわってほしい……」
 羞恥で声が消え入るようになる。
「だめ。自分でさわるんだ。ほら」
 男の手が私の右手を足の間に導く。
「自分で気持ちよくなるとこ、触ってごらんよ」
「あッ……」
 割れ目をなぞり、クリトリスをゆっくりと刺激する。自ら触ってしまった。続けていられないくらい快感が強い。
「そう、その調子。もっと下もさわってごらんよ。ほら、指を入れて」
 いやだ。自分の指を入れても気持ちよくない。触ってほしいのに。
「やるんだ」
 手の上に男の手が重なり、膣へ導かれる。
「やだったら」
 ますます羞恥の気持ちが強くなる。どうしてこんなことをさせるんだろう。
「そう、指を入れて……そうだよ」
 言いながら男は手を添えて、私の指を上から応援するようにグイグイと押し込む。
中はもうとろけきって、したたりおちている。
「ん……んんんッ……」
 言葉にならない喘ぎ声が洩れる。私の指は短い。そんなことをしたら余計に焦れてしまう。
焦れて昂ぶりを見せる私の顔を見ながら、男が尋ねる。
「どうしたの。どうしたいの?」
「……あぁ……もうだめ、おねがい……」
「わがままだなあ」
 ああ、もう欲しい。入れて欲しくて堪らない。あおむけのまま膝を曲げて、アソコがよく見えるように足を自分から開く。早く来て。もう待ちきれないから。
 ビショ濡れのアソコにずいっと入ってくる、熱いかたまり。でもまだ入り口だけ。どこまで焦らすつもりなのか。
「ああんッ……いや……」
 もっと奥まで欲しいから、男の腰に足を絡みつかせる。男はすっと腰を引き、浅くツンツンと軽く突く。そのあと奥へ深く入ってきた。
「あああんんんッ…………」
 私の声が高くなり、尾を引く。待っていた、このときを。中が満たされて、足が強く絡みついていく。

 もっと もっと もっと   みたして ふさいで こわして

 ずっと味わっていたいから。堪らなくなって腰がせり出す。すこし起き上がり後ろ手をつく。深く子宮口まで味わうように、腰を打ちつける。
「はあああッ…………」
「気持ちいい?」
「……うん……すごく。たまらない……」
 中をゆっくり掻き回されながら、いつまでもいつまでも、こうして繋がっていたいと思った。膣の中が私の意志と関係なく、別の生き物のように動き始める。
「ああッ……ああッ……んんッ………」
 喘ぎ声がだんだん短く、せわしくなる。のぼりつめていく。
「イクぞ」
「んん……一緒に……」
 私の中で波が押し寄せる。持ち上げられ、ふわっとさらわれて墜ちた。



Back  Next [緊縛] に続く




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