◎知っているとわかりやすいかもしれない用語集


・江戸の範囲について……どこまでが江戸?

・岡っ引き(おかっぴき)……御用聞きとも。町奉行所(江戸の町の警察機構)同心の個人的な手下で、密偵通報の役目をしていました。公的に認められた仕事ではないので、給金は同心から貰う小遣い程度だったようです。

・夜着(よぎ)……袖と襟のついた大型の着物のような形で、綿が入ったもの。冬用の掛け蒲団にあたります。夏は掻巻(かいまき、夏用の夜着で綿が薄いもの)

・小間物屋……装粧品(紅・白粉・化粧水・櫛・簪・袋物など)を商う人のこと。
 小間物という語源には、高麗物、いわゆる輸入品を扱うので高麗物(こまもの)という説と、細かい物を扱うということで、細物(こまもの) という二つの説があります。
 店舗を持つ場合もありますが、大抵は細かい抽斗を積み上げた荷を背負い、各家を訪問販売して歩きます。(時代劇などで探索するときに、小間物屋に扮するのをよく見かけますが、よその家に上がりこんでも怪しまれない職業だったわけですね)
 化粧品を売ると同時に、メイクアップの手ほどきもしたり。女性相手の商売ですから、口がうまくて二枚目な方のほうが、当然売上も良かったはずです。

・王子稲荷神社……東京都北区王子にある、関東の稲荷神社の総元締めというお宮。
 川を挟んだ桜の名所(八代将軍吉宗が桜を植えさせた)飛鳥山と共に、江戸北端の(正確には江戸の外)庶民に親しまれた行楽地でした。
 毎年、大晦日の夜に、関東一円の稲荷神社から狐たちが集まって、参詣したという伝承が残っています。参詣する狐たちは、まず装束榎と呼ばれた大きな榎の下で、装束を調えてから参詣したとか。集まった狐たちが灯す火(狐火)によって作物の豊凶を占ったといい、その光景は安藤広重の浮世絵に描かれています。
 第二話に出てきた、願掛けの御石様は今でもありますが、金輪寺(王子権現社・王子稲荷神社を管理する別当寺)との位置関係には、かなり嘘が含まれています。