Tears ――2



 前期試験の最終日、チャイムと同時に校内は開放感に満ち溢れる。
 友達とファーストフードに寄り、しばしダベった。一旦、家に鞄を置き、チャリを漕いで、ビデオ屋と古本屋をハシゴする。エロDVDとエロ漫画を物色するために。自慢じゃないが、彼女いない歴と年齢がイコールの俺。成績のいかんに関わらず、自分へのご褒美だ。バチは当たるまい。
 ビデオ屋の裏手には寂れた、今は無人になった小さな工場があって、そこを抜けると自宅までの近道だ。
 「抜き差しバッチリギリギリモザイク!」の煽りに惹かれて借りたDVDを抱え、期待値上向きで家に戻る途中だった。
 思わず立ち止まってしまったのは、聞き覚えがある声がしたからだ。
「ねぇ、やめようよ。誰か来たらヤバイって」
 私服の委員長を見たのは、初めてだった。銀縁メガネがなかったら、彼女だと分からなかったかもしれない。紺のキャミソールに五分袖のカーディガン、下はベージュのミニスカ。ゴムマリみたいな胸が揺れている。
「らしくねぇなぁ。ガッコでは、いつもメガネかけてんの?」
 一緒にいる男は、耳にピアス。噂と違って髪は茶色だった。年はハタチ前後か。
 なんだ、コイツ。委員長のオトコ?
「そうよ。これでも真面目キャラで通ってんだから」
 不貞腐れたような、恩田の態度。いつもガッコで見るのと違う、全然別人みたいな。
 俺はとっさに、スプレーで落書きだらけの壁に隠れた。何でだかわからないけど、そうした。
「マジメな委員長サマ、か。ざまぁねぇな。ホラ、乳首立っちゃってますよ〜」
 ち、乳首って。このやろ、今何しやがった?! 恩田の胸、触ったか?
「触んないでよっ! あんたなんかキライ」
 お、さすがだ。男を振り払って、こっちを向いた。見つかるとヤバイんで、もう半歩、壁の後ろに引っ込む。
 にしても、うっすい服着てるなぁ。胸がふるんって、揺れた?
「いいのかなー? このブラ捨てちゃうよ。そこらにポイ。それとも、ガッコの校門にぶら下げようか。名前入りでさ」
「ちょ……やめ、やめてったら!」
 男が、明るいブルーの塊をひらひらさせて、後ろに隠した。
 多分アレが、恩田のブラ。ってことは、男と言い争いながら、ぶるぶる揺れてる胸は……ノーブラ。
「自分で脱いだクセに何言ってんだよ。変態オンナ」
「脱げって言ったの、コウなのに……あん……」
 背後から男の腕が回されて、委員長、バック取られました。
 じゃなくて、くそぉ。胸揉んでやがるし。このやろー。
 乳、やっぱでかい。制服着てても、でかそうだけど、今はもっと柔らかな。この時ばかりは、氷嚢に見えなかった。たゆんって揺れる胸を男が弄って、恩田が息を荒げて。キャミソールの、胸の先っぽはツンと尖ってる。
 男が恩田の耳元でなんか囁いた。とんがった乳首、服の上からクリクリしながら。ちっ、ここじゃ遠くて聞こえないや。委員長は、しきりに首を振ってる。イヤイヤのサイン? でもエロい顔して喘いで。
「やぁだったら……ぁふ……」
 聞こえた。恩田のエロ声。んー、勃つ。かなりキタ。
「嘘つけ。セックス好きな淫乱のクセに。カッコつけんじゃねぇよ」
 ちょっとドスの効いた声で。おっきな胸ぎゅーって掴んで、痛そう。なのに、恩田は腰砕けになって男に寄りかかった。それから後ろを振り返って。最初、俺に気づいたかと思ったけど、そうじゃなかった。胸揉んでる奴を、すんげー切ない顔して見て。おねだりするような甘い顔。これ、エロ声より勃つかも。
「んっ、んーーーー!」
 首ひねった委員長に、男からかなり乱暴なキス。しょーがねーな、キスしてやるよって感じの。それを追いかけるように、恩田の唇がむしゃぶりついて、カッコよくないけど、長くてエロいキス。胸の先っぽを指で摘まれて、かなり感じてるっぽい声が出てる。
 え。いつの間にか、スカートめくられてる? 白い太腿が丸見え。内側をさわさわって男の手が動いて、くそぉ。
 あ、見えた。さっきひらひらさせてたブラと同じ色の、ブルーが。やっぱ上とお揃いなんだな、なんてバカなこと考えて。ちらっとだけ見えたパンツ。後でオカズになりそうな、小さな水色の三角形。
 でも男のゴツイ手で隠されて、すぐに見えなくなった。
「いやぁ……あぁん……」
 声抑えてるけど、アソコ弄られて恩田が喘ぐ。声もだけど、顔がもっとエロい。眉根寄せて泣きそうで。パンツの上から? いや、もう指、突っ込まれてる。きっと。恩田の体、ゆらゆら揺れてるし。濡れてる恩田のマンコ想像して、こっちも限界間近な感じ。やば。
「パンツ、脱げ」
 男が多分、そう言った。よく聞こえなかったけど、わかった。恩田の顔、変わったし。
 まさか、ここでアオカンの予定、ですか。
「やっ!」
 当然、拒否する。さっきと同じイヤイヤポーズ。
 お。委員長の足が、ぐっと開かれた。後ろから男が膝入れて、片足立ちみたいな感じ。
 水色が、また見えた。かなり見づらいけど。水色のパンツ。その上から、いや横から、かな。ごつい指が動いていた。恩田の体が激しく揺れる。揺れるっつーか、揺さぶられてる。もう自分では立っていられなくて、ヤられっぱなし。胸もぎゅーって、さっきと同じように。乱暴なのに、それでもエロい声出して。
「はぁ……ん……い……い……」
 今、イイって言った? それともイっちゃう?
 男がまたなんか言う。でもってまたイヤイヤ。
 崩折れたみたいに、恩田が膝をついた。男が手を放したからだ。
 ペタンって地面に座りこんで、息を荒げて、男を見上げている。切なそうに。
「ひどい……コウ……」
「脱げよ。続きしたかったら、な」
 今度は、はっきり聞こえた。コイツ嫌いだ。絶対、友達になれねぇ。本能的にそう思う。
 委員長、しっかり拒否ってくれ。頼む。
 いや、恩田のマンコは見たいけど、正直。パンツ脱いでくれたら、絶対見ちゃうけど。
 それでも、こんなヤツの言いなりになってる、恩田はイヤだ。らしくないと思う。
 俯いてる。考えてる。ガッコではしっかりキッパリの委員長が。
 男が恩田の顎をつかむ。顔を上げさせる。恩田の鼻先に、指を突き出した。さっきマンコ掻き回してた指を。
 地べたに座りこんだ委員長は、男の指、じっと見て。それから、男と視線絡ませた。
 二人して、目だけで会話してるような濃密さ。見てるほうもドキドキで。
 うわ、咥えた。咥えるっつーかしゃぶってる。細かい動きは見えないけど、舌をもぞもぞ動かしてるような。自分のマンコに突っ込まれてた指、舐めてる。
 うっとりと目を瞑って、恩田の唇、半開き。揺れるノーブラの胸も、アンアン言う声もエロいけど、それよりずっとずっとチンコにくる顔だった。
 なんだ、これ。自分のチンコしゃぶられてるみたいで、ズキズキ。誰かにしゃぶって貰った事なんて、もちろん無いが。委員長のエロ顔をオカズに、今すぐシゴキまくりたい衝動に駆られた。





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